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- 子どもの眩暈(めまい)の病気


脳幹を中心として小脳にも異常が出てくる疾患

 頭痛や頭が重たい感じがする、目がかすむ、ものが二重に見える、眩暈(メマイ)や吐き気がするなどと訴えて、私たちの診察室を訪れる子供たちがいます。そうした症状のために、彼らの多くは学校を休みがちで、学校嫌いや不登校児、ひどいときには精神障害児として扱われるケースもあります。自律神経失調症と診断されて、治療を長期間にわたって受けていた子どももいました。
 彼らの多くは、レントゲン写真などの検査で、形に現れるような異常はまったくみつかりません。また、他科の検査でも異常はつかめません。ところが、平衡神経学的な検査をすると、多彩な異常が鮮明に浮かび上がってきます。そうした子どもに問診を深めていくと、その大多数がプラスチックの模型(プラモデル)づくりに熱中しており、ごく一部にはその同室者がいることがわかりました。
 有機溶剤中毒、いわゆるシンナー中毒の自覚症状は、頭痛や頭が重たい感じ、目がかすみ物が二重に見える、あるいは眩暈や吐き気、平衡障害などです。
 診察時の所見は、あまりに専門的になるので省略しますが、異常な眼球運動を中心として実に多彩です。これを「中脳水道周辺症候群(チュウノウスイドウシュウヘンショウコウグン)」といい、脳幹を中心として小脳にも異常が出てくる疾患です。
 なお、シンナー中毒は、子どもだけに限りません。有機溶剤は接着剤や脱脂洗浄剤などとして工業用に使われていて、職業病としても見逃すことはできません。

シンナー中毒対策には、常時換気を!

 プラモデルづくりに使う接着剤は有機溶剤ですし、仕上げの塗装で使うラッカーなどにも有機溶剤が含まれています。
 有機溶剤は人体に大きな悪影響をもたらします。専門的になりますが、その害は神経系を犯し、病理学的には、大脳皮質細胞や小脳プルキンエ細胞の変性脱落や脱髄変化、グリオージスなどの他、脳の委縮や脳室の拡大などを起こします。ちなみに脱髄変化とは、神経細胞がまさにスカスカになってしまう病変です。一方、グリオージスとは、神経細胞をとりまくグリヤ細胞が、脱髄変化によって生じたスカスカのすき間を埋めるように入り込んでしまう病変です。
 これらの変化は、一度起こってしまうと元には戻らない傾向が強く、後遺症を残します。しかも、有機溶剤の使用を止めても進行するという恐ろしいものです。有機溶剤は吸い込むことによって血液中に入り、おもに脂肪と結合します。そのため、脂肪の多い神経系は特に犯されやすいのです。
 プラモデルを学校教材に取り入れているところも、まだあると聞きます。有機溶剤を取り扱う際には、十分すぎるほど換気に気を配る必要があります。

 

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