良性発作性頭位眩暈症:耳鳴りや難聴を併発しない一種の成人病
- 耳鼻科の眩暈(めまい)の病気
耳鳴りや難聴を併発しない一種の成人病
良性発作性頭位眩暈症(リョウセイホッサセイズイメマイショウ)による発作は、一種の成人病であり、原因や誘因も比較的明らかです。その一つとして体質が挙げられます。患者さんは、基本的に低血圧やアレルギー体質であることがほとんどです。現在は眩暈(メマイ)がない人も、こうした体質の人は注意が必要でしょう。というのも、患者さんの多くが、それまで一度も自発性の眩暈を経験したことがなく、あるとき、姿勢を変えた瞬間に激しい回転性の眩暈に襲われているからです。あわてて姿勢を元の位置に戻すと、眩暈は消えます。そのままがまんしていても、せいぜい30秒ほどで治まってしまうでしょう。
メニエール病との最大の違いは、耳鳴りや難聴を併発しない事です。たとえ別の病気があり、もともと耳鳴りや難聴を持っていたとしても、その症状が眩暈とともにひどくなることはありません。
眩暈を起こす姿勢は人それぞれです。たとえば「身体の右側を下にして寝たとき」「靴ひもを結ぼうとしたとき」「仰向けに寝たとき」など、特定の「眩暈頭位」があります。検査の際、患者さんが訴える「眩暈頭位」をとって頂くと、眩暈とともにグルグル回る特徴的な眼振(がんしん:眼球の規則性、律動性、不随意性の往復運動)が現れます。ところが、同じ頭位を繰り返しとってもらうと、眩暈も眼振もまったくなくなります。これを減衰現象といいます。